さにぼのぼ

猫1匹と共同生活してる獣医。獣医視点で猫や愛馬、ガジェットなど趣味のことを語ります。猫の健康管理に役立つことも書いていければ!

【馬】のど鳴りとは? 競走馬の重大疾患である喉頭片麻痺について【獣医学】

こんにちは!(*^^*)

 

今回は競走馬に発生する『喉頭片麻痺』、

いわゆる『のど鳴り』、『喘鳴症』について、

その病態から治療法、予後などを解説しようと思います !

 

競馬好きの方や、一口馬主のかたは聞き慣れた用語かもしれません

一口馬主界隈では、がっかりキーワードの一つだと思います(笑)

 

では目次です!

 

のど鳴りとは?

はてなキーワードではノド鳴りについて以下のように解説しています

 

ノド鳴りとは編集

  • 競馬用語。競走馬にまつわる疾病で、呼吸器系の異常音を俗にノド鳴りという。 生命に支障は無いものの、アスリートである競走馬にとっては競走能力に致命的影響を及ぼす。 実際に「ヒューヒュー」といった音がするのでノド鳴りと言われるが、それ自体は症状を.. 続きを読む
  • このキーワードを含むブログを見る
 

 

 のどから音がなるから「のど鳴り」

単純ですね!

しかし、のど鳴りと一括りにしても様々な病気が原因となります

 

また、「喉頭麻痺」は馬だけではなく犬にも発生します

 

特に短頭種であるフレンチブルドックやパグなどに発生すると

呼吸ができなくなるため致死的です

 

一刻も早く動物病院に搬送しましょう!

気管挿管して酸素吸入が必要です!

 

馬では命にかかわることはありませんが、

競走馬としての能力を大幅に下げるため重大な疾患となっています

 

馬の喉頭片麻痺の病態

人や動物では、気管の入り口のあたりを『喉頭』といいます

 

嚥下反射(食べ物をごっくんと飲み込む機能)と呼吸が関連し合うため、

気管の入り口には様々な軟骨が配置されており、

それらは、多数の筋肉の複雑な動きで操作されます

 

下の写真は馬の喉頭です

馬では、鼻から内視鏡を入れて観察します

f:id:sanibo:20180512090923p:plain

喉頭片麻痺は気道の入り口にある『披裂軟骨』(写真の矢印)が開かず、

気道を狭くしてしまうことで発生します

 

そもそも、馬では何故「喉頭麻痺」 なのでしょうか

 

それは、

馬の喉頭麻痺の99.9%は左の披裂軟骨の異常が原因となるからです

つまり片側しか麻痺しないため片麻痺となっています

 

左だけが麻痺する理由として、

左反回神経という 喉頭の筋肉を支配する神経が異常をきたすため、とされています

実際に、左反回神経を手術で切ると左披裂軟骨が動かなくなります

しかし、

実際の症例では左反回神経に異常が認められないことも多々あります

 

つまり、未だ原因を突き止められないのが現状です

 

 

本来ならば、披裂軟骨は以下の写真の様に、

左右対称に大きく広がり気管への空気の流入を補助する役目があります

 

f:id:sanibo:20180512082030p:plain

のど鳴りとは 喉頭片麻痺について

 一方、

喉頭片麻痺の馬では披裂軟骨が動かず、気管の入り口が閉鎖されます

上の写真と比較すると全然違いますね!

これじゃあ、息苦しくて走れませんよね(-.-;)

マスクをつけて走るより苦しいと思います

 

f:id:sanibo:20180512082033p:plain

喉頭片麻痺 走行中

 

治療法

喉頭片麻痺が自然治癒することはまずありません!

また、内科療法や針などでも無理です

 

喉頭片麻痺の治療法は

喉頭形成術」を実施することが第一です

麻痺した左披裂軟骨を、糸で引っ張て固定する手術です

 

f:id:sanibo:20180512092340p:plain

のど鳴り 喉頭形成術 前後

写真は手術前後の左披裂軟骨の変化を示しています

気道を広げて上げることで、空気が通りやすくなり、走りやすくなるということです

名馬であるダイワメジャーもこの手術を実施して、G1に勝ちました

 

しかし、最近でも手術の成功率は…

約70%

これは海外のどんな有名な名医でもそうです

 

医療技術は進歩していますが、喉頭片麻痺が難しい病気なのは間違いありません

喉頭の形が1頭1頭かなり違うのが、成功率を低下させている要因かもしれません

 

また成功とは馬がレースで勝つことですよね

喉は良くなったけど、

もともとその馬がもっている能力が低いから勝てないという側面も有りますので、

何をもって成功とするのは難しい問題でしょう

 

また、のど鳴りの主な原因は喉頭片麻痺ですが、

その他にも様々な喉頭の異常(声帯の狭窄、喉頭虚脱など)が併発していることも多々あります

 

併発している疾患によって予後は大きくかわってきます

 

予防

予防方法ですが…

 

ありません

対策は喉頭片麻痺の徴候のある馬を買わない!につきます(笑)

 

喉頭片麻痺になりやすい馬は

雄の大型馬

です!

 

遺伝による影響はまだはっきりしていませんが、影響ありとする論文もあります

 

また、競走馬のセリでは喉の内視鏡動画を提出する義務があります

いわゆる『レポジトリー』というやつです

喉頭片麻痺の発症する年齢は様々ですが、

若いうちから怪しい徴候をしめす馬もいますので、

購入前にチェックすることをオススメします!

 

意外に、内視鏡動画を見ずに買う馬主さんも多いので、危ないと思います

信頼できる獣医師に見てもらうことをオススメいたします!

(私への依頼もお待ちしております(*´ω`*))

 

 まとめ

馬の『喉頭片麻痺』は、呼吸が苦しくなるため、競走能力を著しく低下させます

治療法は外科手術である『喉頭形成術』しかありません

しかし、手術の成功は神のみぞ知る、です

喉頭片麻痺になるリスクの少ない馬を選び買いましょう